糖尿病における血糖コントロールの目標が改訂されます 

2013年05月23日

日本糖尿病学会は、2013年6月1日より血糖コントロールの新たな目標値を「HbA1c(NGSP)7.0%未満」とすると発表しました。熊本市で開催された第56回日本糖尿病学会年次学術集会(5月16~18日)で「熊本宣言2013」として発表されました。
 HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)は、過去1~2ヵ月の血糖の平均値を反映する臨床検査値。新目標値では、これまで5段階としていた血糖コントロール目標値をHbA1c値の「6.0%」、「7.0%」、「8.0%」の3段階に集約しました。その上で、治療目標は年齢や罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、ケアのサポート体制などを考慮して、患者ごとに設定するとしました。 新たに「糖尿病合併症予防のための目標値」として定められたHbA1c7.0%未満は、対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満がおおよその目安となります。これを軸に、6.0%未満を「低血糖などの副作用なく達成可能な場合の治療目標」とし、さらに8.0%未満を「低血糖などの理由で治療強化が困難な際の治療目標」と設定しました。

まず、HbA1cは今年4月から新しいNGSP値に統一されています。古いJDS値よりほぼ0.4%ずつ高くなっています。古い「5.6%」、「6.6%」、「7.6%」がそれぞれ新しい「6.0%」、「7.0%」、「8.0%」になります。

1987~1998年に熊本県で行われた日本人の2型糖尿病患者を対象とした『熊本スタディ』では、HbA1cが6.9%未満であれば細小血管合併症の出現する可能性が少ないことが報告されています。今回の血糖コントロール目標の改訂には、HbA1cの国際標準化に伴い煩雑になっていた従来の評価分類を整理し、「患者と医療者がともに理解しやすく、活用しやすいように簡素化する」という狙いがあります。一方で最近の臨床研究で厳密すぎるコントロールで低血糖を頻繁に起こすのはよくないことが明らかになってきましたので、できるだけ低血糖を起こさないような治療が求められています。