脂質異常症(高脂血症)の議論について

2010年10月26日

脂質異常症(高脂血症)について、9月1日に、「脂質栄養学会・コレステロールガイドライン策定委員会」という臨床医をメンバーに含まない組織から、「長寿のためのガイドライン」が発表され、コレステロールが高いほうが長生きするという客観性に乏しいデータをもとに、脂質異常症の治療はすべきではないという主張がなされました。対して10月14日に日本動脈硬化学会が次のような反対の声明文を発表しました。コレステロールもしくはLDLコレステロールと動脈硬化の関係については、病理学的研究、細胞生物学的な基礎研究でも証明されたことである。標記「ガイドライン」が発表されて以来、高いリスクを持つのにも関わらず服薬をやめたいという家族性高コレステロール血症(FH)をも含めた高コレステロール血症の患者も出てきていると聞く。日本動脈硬化学会は、科学的根拠なく、必要な患者の治療を否定するような標記「ガイドライン」を断じて容認することはできないことを表明する。と主張しています。私は心臓病や脳卒中に苦しむ患者さんを数多くみてきた臨床医として、日本動脈硬化学会の見解を強く支持します。